
宣誓式を迎えられた一年生の皆さん、おめでとうございます。
ちょうど一年前、私たち三十五回生もここで宣誓式を経験しました。
その時を思い出すと、初めての学びや実習に対して「本当にやっていけるのだろうか。」という不安と、看護師になる夢への期待で胸がいっぱいだったのを懐かしく感じます。
私たちも、クラスの仲間と一緒に、宣誓式で述べる誓いの言葉を考えました。
それは、一人一人の思いをまとめ、仲間と共に夢に向かって、歩む決意を形にする、大切な時間でした。
今、皆さんも同じように、不安や期待を抱えてこの日を迎えていることでしょう。
私は、幼い頃から看護師である母の姿を見て育ち、自分もいつか母のような看護師になりたいという夢を抱いていました。
しかし、十八の時、賛成してくれると思った母は、私の夢に反対しました。理由は、母自身が、看護師として働く中で実感した、仕事の大変さです。「命を預かり、責任が伴う仕事だから、半端な気持ちでは務まらない」と言われ、私はその言葉の重みを痛感しました。
当時は、まだ十八歳で若く、「違う仕事を経験してみて、自分の道をしっかり考えなさい」という意味もあったと思います。
しかし、年月を重ね、さまざまな仕事や人生経験を経て、やはり看護師になりたいという思いが強くなり、息子、娘を育てながら、再び夢への挑戦を決意しました。受験することは、家族にも相談していなかったため、合格通知書を家族ラインに送ると、みんな驚いていました。
そして、かつて反対していた母は、一番喜んでくれて、同じ道に進むことを嬉しいと思っていると話してくれて、自分の経験からのアドバイスもくれました。
今、私は中学生の娘と、社会人の息子に支えられてこの道を歩んでいます。家庭と学業の両立は決して簡単ではありません。娘の学校行事や日々の成長を見守りながら、自分の勉強や実習に向き合う。その両方を大切にすることは、正直大変と感じることもありますが、娘からの「ママ頑張ってるよね」の言葉や、「応援してるよ」と背中を押してくれる、息子の存在が私の大きな力になっています。
看護の道は決して楽ではありません。勉強も実習も大変で、心が折れそうな時もあります。基礎一期の初めての臨時実習では、初めて患者さんと関わり、緊張のあまり、学んできたことが飛んでしまいました。陰部洗浄では清潔不潔の手を迷い、バイタルサイン測定では、マンシェットの巻き方、減圧の仕方に苦戦しました。
今まで出来ていたことが出来ず、失敗ばかりで、落ち込む私が前に進むことが出来たのは、「失敗は学びの一歩出来なかったことを次に活かせば自分の強みになる。」「看護師は、失敗の許されない仕事、出来ません分かりませんでは、患者は守れない。だから、学生のうちに必死に学びなさい。」「大丈夫、あなたならできるから。焦らないで、落ち着いて。」という先生からの言葉でした。これらの言葉は、今でも心に残り、私の支えになっています。
基礎三期では、初めて患者さんを受け持たせていただきました。その方は、九十代で、大腿骨頸部骨折の手術を受けられ、軽度の認知症がある女性でした。実習中、私が体調を崩して二日間休んでしまった間に、不穏行動が見られ、病室もナースステーションの前に移動になったと聞き、不安を抱えながら、訪室しました。
しかし、患者さんは私の顔を見るなり、笑顔で「来たの?もう治った?」と声をかけてくださり、さらにいない間も「学生さん来ないね、休み?」と指導者さんに何度も聞き、「優しくて好きなんだよ」と話してくださったと知り、胸がとても熱くなりました。
基礎一期・二期では、自分の未熟さを痛感し悔やむ毎日でしたが、それらの言葉は私にとって大きな励ましとなり、看護の道を選んでよかったと心から感じることができました。
また、余暇活動として提案した、スクラッチアートはとても気に入ってくださり、実習最終日には「これ、あなたに」と一枚、プレゼントしてくれました。
最後の挨拶に伺った時、患者さんは私の手を強く握り、「寂しくなる」と言いながら、何度も「ありがとう」「頑張ってね」と言ってくれました。
その瞬間、私は、「看護とは技術や知識があることももちろん大事であるが、それだけではなく、人と人との温かい心のつながりも大切」ということ、また、患者さんにとって私の存在が少しでも安心や笑顔につながったことが何よりも嬉しく、「看護師とは患者さんの命と心に寄り添う尊い仕事」だと改めて感じました。だからこそ、不安や失敗に向き合い、学び続ける姿勢が大切だと実感しました。看護師を目指す道は、きっと誰にとっても平坦ではありません。勉強に戸惑うことも、実習で悩むこともあるでしょう。時には、壁にぶつかることもあると思います。
その時は、一人で抱え込まず、先生方に相談してください。必ず、親身になって聞いてくれます。味方になり守ってくれます。また、同じ立場で学んでいる仲間を頼ってください。思いを共感し、支えになってくれます。一つ一つを乗り越えていくことで、確かな成長が得られます。そして、多くの経験こそが、いつか患者さんに寄り添う力になると得じています。
私は遠回りをしました。だからこそ、夢を追う喜びを今強く感じています。これからも母として、学生として、そして看護師を目指す一人の人間として、夢に向かって歩み続けたいと思います。
そして、最後に、今私がここに立っていられるのは、息子、娘、家族みんなが応援してくれているからです。その支えに感謝しながら、これからも夢に向かって歩んでいきます。
皆さんも、それぞれ目指す看護師像があると思います。どうかその思いを胸に、一歩ずつ前に進んでください。私も皆さんと同じ夢を追う仲間として、努力を続けていきます。
小幡光子
1週間のスケジュール
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 10:00~11:00 | |||||
| 10:00~11:00 | |||||
| 10:00~11:00 | |||||
| 10:00~11:00 | |||||
| 10:00~11:00 | |||||
| 10:00~11:00 |
